小さい頃、将来の夢は何ですか?という質問に、歯科衛生士という人はなかなかいないと思います。
せいぜいで、歯医者さんのお姉さんという人がいても、
歯科衛生士になるには、大学や短大、専門学校などの歯科衛生士養成機関に行く必要があります。
歯科衛生士養成機関に入学している人の多くは、高校卒業後の進路として、歯科衛生士になるための学校に進学するわけですが、18歳の段階で、将来は歯科衛生士になると決断したというのは、すごいことだと思います。
もちろん、歯科衛生士以外でも、18歳の段階で将来なりたい職業を決めて、進学する人も多くいます。
特に、
医師や歯科医師、薬剤師
といった職に就きたいという人は、医学部、歯学部、薬学部に行く必要があり、実際、卒業後は、ほとんどの人がその職業に就くことでしょう。
また、
看護師や美容師、保育士
になりたいという人は、看護師は看護学部や看護学校、美容師は美容学校、保育士は保育に行き、こちらもまた、その職に就いていることでしょう。
さらに、
教員、弁護士
になりたい人は、教育学部や法学部を選んでいることでしょう。
このように、18歳の段階で、将来を見据えて進学している人もいるわけです。
とはいえ、個人的に、歯科衛生士という職業は、そんなにメジャーではないように感じます。
実際、当方のまわりでは、歯科衛生士になったという人を見かけたことも聞いたこともなく、もちろん、そんな職業があるとは知りませんでした。
もちろん、歯医者に行くことはありますし、その際、先生以外で歯の処置をしてくれている人もいるわけですが、その人が、歯科衛生士という資格を持った人という認識がありませんでした。
少なくとも、普通に生活していると、歯科衛生士という職業は、あまり身近ではないように感じます。
将来なりたい仕事を考えたときに、お医者さんや看護師、歯医者さんなどは思いついても、歯科衛生士はなかなか出てこないのが普通だと思います。
そんな歯科衛生士になると決めることができた人は、当方から言わせれば、とてもラッキーだと思います。
当方も、中学生、高校生のときに、歯科衛生士という職業があると知っていれば、進路として選択したいと思うほど魅力的な仕事だと思います。
国家資格ですし、人手不足で職に困ることもなく、歯科医院という社会的に信頼されているところが職場という点もいいところです。
ここでは、とりあえず、高校卒業後にどれくらいの人が歯科衛生士を目指すのかを調べてみました。
まず、平成26年度の18歳人口は、およそ1,180,000人となっています。
そこから、歯科衛生士学校の入学定員、志願者数、入学者数をみてみましょう。
平成26年度 入学定員8,346人 志願者数10,775人 入学者数7,812人
ここで、志願者数と入学者数が違うのは、歯科衛生士学校を複数志願して、合格したうちのひとつに入学するケース、他の学科へ進学したものなどもあることでしょう。
そこで、実際に、入学した7,812人を、平成26年度の全18歳人口で割ると、0.00662…となります。
つまり、単純に計算すると、18歳人口のわずか0.662%にあたる人しか歯科衛生士を目指さないということになります。
なお、志願者数は、滑り止めで複数受験している人もいるとはいえ、10,775人いるわけで、そこだけ見ると、1%の人が歯科衛生士学校を志願していることになります。
とはいえ、実際の入学者数は、約500人に3人というと、やはり、少ないですね。
しかも、平成29年度の入学定員8,835人に対し、入学者数が入学者数7,863人で、定員に対し入学人数の割合を示す、定員充足率は89%、入学者が定員に満たない学校の割合は、55.9%、そもそも志願者数が定員に満たない学校も37.9%となっています。
もちろん、高校卒業後すぐに、歯科衛生士学校に行くのではなく、一度、社会に出たあとに、歯科衛生士学校に入学する人もいます。
特に、歯科助手として仕事をしている中で、歯科衛生士を目指すという人もいます。
最近では、専門学校に入学する25%が、高校生以外の大学生や社会人ともいわれており、
特に、はり・きゅう・あんまマッサージ指圧、看護、介護福祉、柔道整復、理学療法・作業療法などといった医療系の専門学校は、大学卒業生などや社会人入学者が多くなっています。
ですので、歯科衛生士の専門学校についても、同じようなことがいえそうです。
実際、
新横浜歯科衛生士専門学校では、現役の学生と社会人経験者と半々
奈良歯科衛生士専門学校では、合格者の2割近くが現役の高校生以外
となっています。
なお、逆に、
松戸歯学部附属歯科衛生専門学校では、社会人学生数は、133人中10人
と、1割に満たないところもありますが。
これを考慮すると、なおのこと、高校生にとって、歯科衛生士という職業を選択するというケースが少ないといえそうで、それを含めて、いかに、歯科衛生士になりたいと思う人そのものが少ないということがわかるでしょう。
しかも、平成26年度に入学し、短大や専門学校でを卒業する3年間後の平成28年度卒業者数(平成26年度入学の大学4年制を除き、平成25年度入学の大学4年制を含む)は、6,955人となっています。
ここでも、単純計算ですが、平成26年度の入学者数7,812人に対し、平成28年度卒業者数6,955人で、その差である857人は、途中で学校をやめているということになります。
つまり、約1割は、向いていない、他にやりたいことが見つかった、学費の問題など、さまざまな理由から、卒業せずにいるということなのです。
もちろん、どこの学校でも、退学者数が多いというわけではなく、
松戸歯学部附属歯科衛生専門学校では、133人中1人
と、その中退率は、わずか0.75%となっています。
最終的には、平成26年度の18歳人口1,180,000人に対し、平成28年度の歯科衛生士学校を卒業する人は6,955人、そして、平成28年度の就職者数は、6,487人となっています。
卒業したものの、歯科衛生士にならない人は、ここでも単純計算ではありますが、468人います。
歯科衛生士の国家試験の合格率は、95%前後といわれていますので、卒業生6,955人中348人が不合格だったと推測され、不合格の結果、就職しなかったという人もいるでしょう。
また、とりあえず卒業し、歯科助手として就職し、来年の国家試験合格を目指す人もいるでしょう。
なお、就職しない人の中には、専門学校や短大から大学へ進学する人も含まれますので、その人
そのようなケースも含みますが、最終的に、歯科衛生士として働く人は、0.56%まで減少してしまいました。
歯科衛生士が人気のある職業かというと、
定員充足率(入学者率)は89%
入学者が定員に満たない学校の割合は、55.9%
歯科衛生士として働くのは、全体の0.56%
この数字だけみると、必ずしも人気とも言い切れないところもあります。
ただ、先も述べたように、歯科衛生士という仕事そのものの認知度の低さ、
歯科衛生士の仕事でつらいこと
歯科衛生士の仕事でつらいことといえば、人間関係をあげる人も多いです。
歯科医院は、主に歯科医師、受付スタッフ、歯科助手、歯科衛生士で構成されており、1医院に4人~10人という少人数のスタッフで運営していることがほとんどです。
一般企業と比べると、小さな職場です。
そのため、人間関係が円滑にいっていれば非常に居心地の良い職場となりますが、逆に人間関係が上手く行かないと、退職をしてしまいたくなるほど仕事にいくのがつらいと悩む人もいます。
また、患者さんから歯科衛生士に対して、接客が悪い・スケーリング(歯石除去)が痛いなどの、クレームが入ることもありますので、それがつらいと感じる人もいます。
他には、立ち仕事のため、足のむくみがつらい、感染症に気をつける必要があるので、精神的に疲れるなどが挙げられます。
歯科衛生士の仕事の悩み
新人の歯科衛生士の場合、仕事の悩みというと、歯科医師の治療を上手にサポートできず、歯科医師や先輩の歯科衛生士から注意されることが最も多い悩みではないでしょうか。
たしかに、思ったように仕事ができないとつらいですし、注意を受けるとモチベーションも下がり、ますます仕事へのやりがいを失い、悩みが増えます。
しかし、これは新人歯科衛生士特有の悩みで、1年も続けていれば、次第に慣れてきますから心配いりません。深く悩まずに、目の前の仕事を正確にこなしていくようにしましょう。
他には、患者さんに説明してもなかなか理解してもらえないことなども歯科衛生士の悩みとして挙げられます。
しかし、これも経験を積んでいくことで徐々に患者さんと上手にコミュニケーションをとっていくためのスキルが身に付いてきます。
すぐに諦めれてしまわずに、患者さんとのコミュニケーションが上手な先輩をよく見て学ぶようにしましょう。
歯科衛生士の悩みやつらいことは、誰しも通る道ですし、乗り越えれば一人前の歯科衛生士となるため、諦めずにスキルアップをがんばりましょう。
ただし、職場に行くことさえつらいと感じるようになると重症ですので、そのときは潔く職場を変え、気分よく働ける環境を探すようにしましょう。